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  2. 私がここに他人本位というのは、自分の酒を人に飲んでもらって、後からその品評を聴いて、それが理が非でも(無理にも)そうだとしてしまう人真似をさすのです。

私がここに他人本位というのは、自分の酒を人に飲んでもらって、後からその品評を聴いて、それが理が非でも(無理にも)そうだとしてしまう人真似をさすのです。

作家 夏目漱石 『私の個人主義』

自分の酒を他人に飲んでもらって、その品評に一喜一憂し、人の顔色をうかがってびくびくしながら生きる不安と苦しさ。若いころ、そのような他人本位の生き方の苦しさを味わった夏目漱石は、自分の酒は自分で飲む、すなわち人生の鉱脈を自分のつるはしでかちんと掘り当て、これだと思ったことをやり遂げる、独立独歩の自己本位の生き方をつかもうとした。漱石はそれから自分は強くなったと言う。まず、自分は何をしたいのか、何をするべきなのか、何をやろうと決意したのか、それを土台にすえたうえで、歩むべき方向を定めていこう。「自分は自分、人は人」、自分の人生の本位、すなわち基準、スタンダードとなるものはあくまで自分、そのような自己本位の強さをもちたい。

もういちど読む山川哲学 ことばと用語、21ページ、2015年、山川出版社

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