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人間であることは、とりもなおさず責任をもつことだ。

フランスの飛行家・作家 サン=テグジュペリ 『人間の土地』

雪のアンデス山脈に不時着した郵便飛行機のパイロットは、雪の中を5日間歩き通し、最後の力をふりしぼって、自分の遺体を発見してもらうために谷間から岩角まではいあがる。自分の死亡が確認されなければ、残された妻に保険金がおりないからである。彼は「もう少しだけ心臓が動いてくれ」と心で叫びながら、自分の遺体を発見してもらうためだけに登り続ける。愛するものへの責任をはたすこと、それは愛するものとの絆に生きることであり、その絆に生きることが人に人生を最期まで生き抜く勇気をあたえ、自己を支えてくれる。サン=テグジュペリは、「真のぜいたくは、人間関係のぜいたくだ」と語る。

もういちど読む山川哲学 ことばと用語、10ページ、2015年、山川出版社

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