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天下に水より柔弱なるものはなし、しかも堅強なるものを攻めるに、これによく勝るものなし

古代中国の思想家 老子 『老子』

岩がぶつかりあって割れ、裂け、崩壊するように、強堅なものはもろさをもつ。一方、水はいっけん弱々しく見えるが、柔軟にあらゆるものに対応し、けっして壊れることなく、いつしか大きな岩をもころがし、削り、割るという秘めた力をもっている。人間も頑固におのれの考えばかりに執着し、声高に主張し、相手とぶつかってばかりいては、いつかもろさを露呈することになる。相手を押し出すことばかり考えていては、自分もまた押し出される。老子曰く「柔を守るを、強という」、腰を低くして柔軟な態度で相手を受け止め、時間をかけてあきらめず、粘り強く取り組む者が最後に勝ち残る。水をイメージして柔軟な、しかし芯の強い生き方とは何かを考えてみよう。

もういちど読む山川哲学 ことばと用語、26ページ、2015年、山川出版社

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