寛政の改革(かんせいのかいかく)
江戸時代の3大幕政改革の一つ。1787年(天明7)5月の都市打ちこわしにより田沼意次政権が崩壊し,老中松平定信(さだのぶ)を中心とする政権が誕生。御三家・御三卿をはじめ譜代門閥層が政権を支え,同年から93年(寛政5)までの期間に改革が実施された。改革の主眼は田沼の政治路線を転換し,都市秩序の安定と本百姓体制の再建,幕府財政の立直し,公儀権威の回復におかれた。そのため都市社会政策(物価政策・七分積金・人足寄場設置など),農村復興策(他国出稼制限令・荒地起返(おこしかえし)并小児養育手当貸付策など),財政策(公金貸付策・棄捐令(きえんれい)など),思想・情報統制策(寛政異学の禁・出版統制令・奇特者褒賞)などが実施された。勘定所御用達など一部の江戸特権商業資本の資力や,商業・金融上の手腕に頼りつつ実施された点に特徴がある。また,改革の過程で江戸湾海防,蝦夷地取締りに関する建策も行われ,後年の幕政に大きな影響を与えた。 (山川 日本史小辞典(改訂新版), 2016年, 山川出版社)
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