笠置寺(かさぎでら)
京都府笠置町にある新義真言宗の寺。鹿鷺(ろくろ)山と号す。大友皇子の開創と伝えるが成立は未詳。奈良末期の制作と推定される弥勒仏など磨崖(まがい)石仏群で知られる。平安後期に入るとこの山が兜率(とそつ)浄土とされ,修験の霊場として貴賤の信仰を集めた。花山上皇・藤原道長・後白河上皇はじめ,多数の上皇・公卿の参詣が記録される。1192年(建久3)解脱房貞慶が入寺,般若台など伽藍と法会の整備を進めた。東大寺の宗性もここで弥勒信仰を宣揚した。1331年(元弘元)の元弘の乱で後醍醐天皇の行在所(あんざいしょ)となったため,兵火をうけて多くの建物を焼失。多数の寺宝を所蔵し,貞慶筆と伝える「地蔵講式」は重文。 (山川 日本史小辞典(改訂新版), 2016年, 山川出版社)
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