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花鏡(かきょう)

世阿弥(ぜあみ)の著した能の伝書。1424年(応永31)奥書。「風姿花伝」に続く約20年間の芸論集成で,題目6カ条・事書12カ条からなる嫡子観世元雅(もとまさ)への相伝書。「花習内抜書(かしゅうのうちぬきがき)」の1418年奥書に,題目6カ条・事書8カ条の「花習」がみえ,幾度かの過程をへて成立したらしい。「花鏡」の名は21年奥書「二曲三体人形図」に載り,事書4カ条追加と既存の条の増補は20年奥書「至花道」より先と思われる。長期かつ複雑な成立過程を反映し,演技の基礎・応用,習道・理念などが混在するが,演者の心を問題にした論が多い。後年成立の条に高度の論が多く,とくに初心不可忘論を展開しての生涯稽古論は人口に膾炙(かいしゃ)し,名言として誤用を含みつつ今日でも用いられる。「世阿弥十六部集」では「覚習条々」の仮題を付している。「日本思想大系」所収。 (山川 日本史小辞典(改訂新版), 2016年, 山川出版社)

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