海国兵談(かいこくへいだん)
国防を目標とした兵書。16巻。林子平(しへい)著。1786年(天明6)成立,翌年工藤平助の序をつけて第1巻を刊行,91年(寛政3)全巻刊。地続きの隣国をもたない「海国」日本には,それにふさわしい国防がなければならないというのが基本的な立場で,第1巻ではオランダ船の装備や構造の紹介とともに,洋式軍艦を建造し海軍を充実させるよう説き,大砲を改善し沿海に配備すべきことを提言。とくに江戸湾の防備が急務であると指摘する。第2巻以下は従来の兵書の内容をでないが,本書の刊行により著者林子平は処罰され,本書も92年幕府により絶版とされたが,のち解除され再刻。「岩波文庫」「林子平全集」所収。 (山川 日本史小辞典(改訂新版), 2016年, 山川出版社)
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