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新論(しんろん)

後期水戸学の代表的な国家論。著者は水戸藩士の会沢正志斎(せいしさい)。1825年(文政8)成立。国体(上・中・下)・形勢・虜情・守禦・長計の7編。国体神学にもとづいて富国強兵論と民心統合策を体系的に記す。同年の幕府による異国船打払令の公布を,弛緩・動揺した幕藩体制を建て直す好機と考え,尊王攘夷思想による危機打解策を提示した。なかでも民衆の宗教意識を天皇を祭主とする国家的祭祀にとりこみ,民心を国家の側に牽引しようとするイデオロギーは,近代天皇制思想の原形をなすものである。「岩波文庫」「日本思想大系」所収。 (山川 日本史小辞典(改訂新版), 2016年, 山川出版社)

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