1. 用語
  2. 日本史 -し-
  3. 心中天の網島(しんじゅうてんのあみじま)

心中天の網島(しんじゅうてんのあみじま)

人形浄瑠璃。世話物。3段。近松門左衛門作。1720年(享保5)12月大坂竹本座初演。同年10月に網島大長寺であった心中事件を脚色した作品だが,実説は不詳。内容は曾根崎新地紀国屋の遊女小春と紙屋治兵衛が,治兵衛の兄や女房のさまざまの心遣いも空しく,心中に追いこまれていくというもの。小春と治兵衛の女房との女同士の義理の立てあい,あるいは妻子ある男の恋が,周囲の人々を苦難に巻きこむ様相が緊密に描かれ,近松の世話物中の傑作である。歌舞伎では翌年から上演され,以後浄瑠璃・歌舞伎ともに影響しあって「心中紙屋治兵衛」や「天網島時雨炬燵(しぐれのこたつ)」などの改作物がうまれ上演されたが,近年は原作に近いものの上演が多い。 (山川 日本史小辞典(改訂新版), 2016年, 山川出版社)

この記事が気に入ったらいいね!しよう