1. 用語
  2. 日本史 -し-
  3. 新劇(しんげき)

新劇(しんげき)

日本演劇の一部門。明治期の歌舞伎(旧劇)に対して新しい表現様式をとる演劇一般を新劇と称した時期をへて,日露戦争後に新派劇の語が定着。さらに新しくヨーロッパの近代演劇を本格的に導入しておこった演劇を一般に新劇とよぶ。明治20年代から坪内逍遥(しょうよう)・森鴎外らのヨーロッパ演劇の紹介や論争があったが,1906~09年(明治39~42)に島村抱月(ほうげつ)・逍遥が文芸協会を設立し,09年に2世市川左団次と小山内薫(おさないかおる)が自由劇場の第1回試演を行い,新劇運動は活気を呈した。大正期には松井須磨子のような人気女優も出現し,多くの劇団が誕生した。24年(大正13)小山内と土方与志(ひじかたよし)が中心となって築地小劇場を設立したが,プロレタリア演劇の流れや左翼運動の影響もあり,昭和期に入ると,多くの劇団が誕生・分裂をくりかえす。第2次大戦後は,主要劇団の活動も活発化したが,60年代以降アングラ演劇の台頭により新劇の地盤も動揺を続けている。 (山川 日本史小辞典(改訂新版), 2016年, 山川出版社)

この記事が気に入ったらいいね!しよう