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白浪物(しらなみもの)

白浪すなわち盗賊を題材とした歌舞伎戯曲あるいは講談の一つ。盗賊を白浪とよぶのは,後漢で黄巾(こうきん)の賊の残党が西河の白波谷に立てこもって白波賊とよばれたことによる。もとは実録の一分野であったが,幕末以降の退廃的世相を反映して,講釈師乾坤坊良斎(けんこんぼうりょうさい)や2世松林伯円(しょうりんはくえん),あるいは歌舞伎作者河竹黙阿弥によって人口に膾炙(かいしゃ)した。とくに黙阿弥は白浪作者とよばれ,4世市川小団次や5世尾上菊五郎のために白浪を主人公とした多くの作品を書いた。下層社会の風俗や残忍な場面を描いた写実性と,勧善懲悪的結末に特徴がある。 (山川 日本史小辞典(改訂新版), 2016年, 山川出版社)

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