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庶物類纂(しょぶつるいさん)

江戸中期の本草・名物学書。稲生若水(いのうじゃくすい)が加賀国金沢藩主前田綱紀の命で,1697年(元禄10)から1000巻の計画で編纂を始めるが,前編362巻までで病死。これを惜しんだ将軍徳川吉宗の命で若水の門人丹羽正伯(にわしょうはく)・内山覚仲(かくちゅう)らが増修事業を行い,1738年(元文3)後編638巻を完成,計1000巻とした。のち54巻を増補。動植物,鉱物など3590種を26属に分類し,中国の本草書・農書・地方志・随筆・文集の説を広く抄録し,その和名を考定する。全巻漢文で書かれ,幕府の文庫に収められたため,一般にはほとんど利用されなかったが,増修の過程で幕府により大規模な全国的産物調査が実施され,「諸国産物帳」が作られた意義は大きい。 (山川 日本史小辞典(改訂新版), 2016年, 山川出版社)

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