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職人(しょくにん)

中世中期に発生した言葉で,職能をもつ者のこと。手工業者をさすことが多い。手工業者はすでに古代からみられるが,品部(しなべ)・雑戸(ざっこ)のように官営工房に所属する隷属的なものであった。官営工房が衰え細工所が発生すると,これに所属する手工業者は平安末期に独立しはじめ職人が発生した。中世には建築業の番匠(ばんしょう)・壁塗をはじめ,金属加工業の鍛冶・鋳物師(いもじ),木材加工業の檜物師,繊維・皮革の加工にたずさわる職人などがあった。陰陽師(おんみょうじ)・仏師・絵師・傀儡師(くぐつし)・医師・博打(ばくち)なども職人とよばれ,禅僧や荘官のことも職人(しきにん)といった。職人は同業者組織である座を結成し,貴族・社寺の保護をうけることがあった。戦国大名は職人を保護・統制し,城下町への集住化もはかった。近世に入ると都市に集中した職人は同業者組織である仲間を結成し,徒弟制のもとに独特の職人社会を結成。近世後期には問屋制手工業・工場制手工業の発達によって圧迫をうけ,近代には工場制機械工業の出現で没落した。 (山川 日本史小辞典(改訂新版), 2016年, 山川出版社)

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