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初期荘園(しょきしょうえん)

荘園領主が土地と荘民とを一元的に支配する本格的荘園(寄進地系荘園)に対して,土地の支配のみが先行して独自の荘民をもたず,耕作労働力を周辺農民の賃租に依存していた段階の荘園をいう。史料的に豊富な東大寺領の北陸の荘園が著名。そこでは国司―郡司という律令制地方支配機構を利用して班田農民の労働力を確保し,公定収穫高の5分の1を収取する賃租が行われ,郡司には中間搾取的得分が認められていた。郡司の権力がそれほど強くない場合には荘園領主らが直接経営を行うが,初期荘園の多くは在地の郡司の権威に依存していたので,有力農民の台頭による郡司の弱体化にともない,維持が困難となって衰退した。 (山川 日本史小辞典(改訂新版), 2016年, 山川出版社)

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