昭和恐慌(しょうわきょうこう)
1930年(昭和5)に勃発した第2次大戦前の日本で最大の深刻な恐慌。世界恐慌の一環としての性格をもつが,国際的に最も遅れた金本位制への復帰と前後して恐慌が発生したこと,物価・企業利潤・労賃は大幅に下落したが生産数量の縮小は軽微であったこと,深刻な農業恐慌を併発したこと,早期に景気回復に転じたことなどの特徴があった。恐慌は,1929年夏からの綿製品・重化学工業品の価格下落,30年5月の生糸価格暴落,同年10月の米価暴落の3段階をたどった。この過程でカルテルがほとんどの産業にいきわたって産業合理化が進められ,連盟融資などの救済政策も展開された。31年末の金本位離脱とその後の高橋財政によって,この恐慌からの脱出が実現された。 (山川 日本史小辞典(改訂新版), 2016年, 山川出版社)
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