生類憐みの令(しょうるいあわれみのれい)
江戸前期,5代将軍徳川綱吉(つなよし)のときに発令された生類保護に関する幕府法令で,1685年(貞享2)頃からしだいに具体化される。憐みの対象は牛馬・犬・鳥類をはじめあらゆる生類に及んだ。鷹狩・狩猟にも制限が加えられたが,とりわけ犬に関しては細部にわたる規制とともに,野犬収容のための大規模な犬小屋が江戸近郊の四谷・中野・喜多見などに設置された。違反者に対する取締りときびしい処罰が民衆の悪評と反感を招き,これらの諸法令は捨子禁止などごく一部を除き,1709年(宝永6)綱吉の死とともに撤廃された。生類憐みの令は綱吉の個人的恣意として位置づけられてきたが,幕府権力のあり方とその政策的意図からの再評価も試みられている。 (山川 日本史小辞典(改訂新版), 2016年, 山川出版社)
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