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常民(じょうみん)

民俗学の基礎的概念の一つ。日常の生活文化の担い手とされ,民間伝承を多く保持する人々を表す。柳田国男は,ごくふつうの生活を送る農民を想定したが,具体的には,江戸時代の農村にあって田畑を4~5段歩所有する本百姓であり,いわゆる中農クラスの農民とされる。彼らの存在は当時の日本人の約7割くらいを占めていたので,彼らの担う日常生活文化の総体を常民性として包括した。文化としての性格は,類型的かつ没個性的であり,創造的かつ個性的な先進性には欠如しているが,伝統的であり秩序を安定させる力をもつ。英語のcommon peopleの訳語として用い,日本国民の全体にわたる日常性を示す基層文化としてとらえる立場もある。 (山川 日本史小辞典(改訂新版), 2016年, 山川出版社)

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