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尚歯会(しょうしかい)

江戸後期,紀伊国和歌山藩儒遠藤勝助が主催した会合。天保の飢饉対策研究を行い,「救荒便覧」「二物考」などの成果をあげた。その後はしだいに新しい知識・情報交換の場となった。1838年(天保9)10月に例会が催された際,幕府評定所留役芳賀市三郎が,近く再来航するはずの「英船」モリソン号に対する打払令適用という幕府の方針を漏らしたため,出席していた渡辺崋山が「慎機論」を,高野長英が「戊戌(ぼじゅつ)夢物語」をそれぞれ著し,これに反対した。この著作により崋山は国元蟄居,長英は永牢に処されたが,遠藤は逮捕されなかったため,現在,同会を洋学研究団体・政治的結社とは考えない説が有力になりつつある。なお尚歯会は本来,老人(歯)を尊敬(尚)し高齢を祝う会のことで,845年唐の白楽天(はくらくてん)が,日本では877年(元慶元)に南淵年名(みなぶちのとしな)が催した。 (山川 日本史小辞典(改訂新版), 2016年, 山川出版社)

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