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春色梅児誉美(しゅんしょくうめごよみ)

江戸後期の人情本。4編。為永春水(ためながしゅんすい)作,柳川重信画。1・2編は1832年(天保3)刊,3・4編は33年刊。29年(文政12)の大火で書肆青林堂を失った春水が,助作者なしで書いたもので,読本・合巻(ごうかん)ふうの趣向を用いて伝奇性を確保し,洒落本・滑稽本の写実的描写により恋の意気地と駆引を描き,人情本の分野を確立した。実在の男芸者などを登場させたり,この時代の男女の逢瀬の会話を完璧に再現したため,春水が読者と想定した婦女子のみならず青年たちの大歓迎をうけ,主人公の丹次郎の名は光源氏や在原業平と並んで色男の代名詞として明治期まで使われた。「日本古典文学大系」所収。 (山川 日本史小辞典(改訂新版), 2016年, 山川出版社)

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