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朱子学(しゅしがく)

宋学・宋儒学・新儒学とも。11世紀頃南宋の朱子によって体系化され,中国をはじめ東アジアに大きな影響を与えた儒学の一大哲学体系。朱子は,北宋の周濂渓(れんけい)・張横渠(おうきょ)・程明道・程伊川(いせん)らの儒学説を集大成し,孔子以来の儒教を再解釈して,宇宙・社会・人性を首尾一貫した論理で捉えようとした。その思想は,万物の存在を理と気によって説明し,人間は本来的に絶対善なる本然の性を具有しており,居敬・窮理という為学修養により気質の性の混濁を除去すれば,誰もが聖人になれるとした。これは,貴族制社会を解体し新しい中央集権的統一国家を形成しようとした宋王朝と当時の知識階級にうけいれられ,儒学の理想主義を政治のうえで実現する可能性を切り開いた。朱子学は元・明代以降,清代末にいたるまで儒教の正統的解釈として君臨した。日本には鎌倉時代に禅僧によってもたらされたが,戦国末期の思想的革新と近世の学問興隆を背景に修正をうけつつも,近世を通じて知識人の世界観の基礎をなした。 (山川 日本史小辞典(改訂新版), 2016年, 山川出版社)

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