明治前期のJ.S.ミルの「自由論」の翻訳書。中村正直(まさなお)訳。1872年(明治5)刊。5巻6冊。70年に訳出を始め,72年3月に完成。人間の個性の尊重を主張し,思想と言論の自由を力説した内容は,自由民権運動にも大きな影響をあたえた。しかしミルのいう自由が社会的自由であったのに,政治的自由として訳出するなどの問題点もあった。「西国立志編」とならぶ中村の啓蒙的訳業の代表作。「明治文化全集」所収。 (山川 日本史小辞典(改訂新版), 2016年, 山川出版社)
この記事が気に入ったらいいね!しよう
この記事が気に入ったらいいね!しよう