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洒落本(しゃれぼん)

蒟蒻本(こんにゃくぼん)とも。近世小説の一様式。江戸中・後期を代表する戯作の一つ。小本(こほん)または中本1冊を基本的な形態とする。遊里を取材対象とするのが典型だが,世相一般に及ぶものもある。1770年(明和7)刊行の田舎老人多田爺(ただのじじい)作「遊子方言」によって,基本的な様式が確立した。通り者と息子株という2人の登場人物による滑稽を軸に,江戸吉原での遊興のさまを会話体,小書きによる衣装などの簡明な説明で叙述する。さまざまな趣向による多くの追随作をうみ,安永~寛政期初めに全盛をきわめた。91年(寛政3)の山東京伝の筆禍によって一時流れがとだえたが,その後に叢生する洒落本は実情を重んじ,人情本への素地をつくった。 (山川 日本史小辞典(改訂新版), 2016年, 山川出版社)

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