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沙石集(しゃせきしゅう)

「させきしゅう」とも。鎌倉中期の説話集。10巻。無住(むじゅう)一円著。1279年(弘安2)起筆,83年脱稿。のち数次の改訂を重ね,広本・略本を残す。流布本巻4によれば,最後の改訂は1308年(延慶元)5月。説話による仏教的啓蒙を意図すると序文にある。ただし,前5巻は話題のあとに教理的解説がつき,巻単位の論説展開もあるが,後の5巻は話題解説が少なく,いわゆる説話集のかたちをとる。巻1の本地垂迹(ほんじすいじゃく)説,巻5の狂言綺語観・和歌即陀羅尼観のほか,中世東国中部地方の庶民の生態を伝える話題,俗語を交えた巧みな語り口も注目される。抜書に「金撰集(こんせんしゅう)」「金玉集」「見聞聚因抄」があり,「醒睡笑(せいすいしょう)」などにもとりいれられている。「日本古典文学大系」所収。 (山川 日本史小辞典(改訂新版), 2016年, 山川出版社)

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