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車借(しゃしゃく)

中世~近世に車を手段とした運送業者。11世紀半ばに成立した「新猿楽記」にみえるのが早い例。東大寺では,1104年(長治元)美作国からの米・塩の輸送に山城国木津(きづ)の車借26人を動員し車力料を支払っており,当時寺家から相対的に独立した立場で営業活動を行っていた車借が,木津付近に集住していたことがわかる。ほかに京都近郊の鳥羽・白河の車借が有名だが,その活動は道路の整備された畿内・鎌倉周辺にほぼ限られた。荷物運送のほかに商業活動も行った。近世では,下鳥羽と伏見に問屋のもとに組織された大規模な車借集団が存在したが,その労働力である車力の主体は近郊の農民の兼業であった。 (山川 日本史小辞典(改訂新版), 2016年, 山川出版社)

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