品部(しなべ)
「ともべ」とも。朝廷により組織された特殊な部。大化前代の品部は,「日本書紀」垂仁39年条の伝承にある楯部(たてぬいべ)・神弓削部(かむゆげべ)・玉作部(たまつくりべ)などの10種の品部が著名。当時はさまざまの職業部が,伴造(とものみやつこ)に管掌されて朝廷に物資と労働力を提供し,伴造の経済的基盤となったらしい。最近では名代(なしろ)の部も品部の一種とする説がある。律令時代には大化前代の品部の一部が残存し,たとえば図書(ずしょ)寮の紙戸50戸,造兵司の楯縫(たてぬい)36戸,漆部司(ぬりべのつかさ)の漆部15戸のように,伝統的諸官司に配備されたものとするのが有力な学説である。彼らは所属官司に上番して特殊な労役に服し,調・庸・雑徭(ぞうよう)の全部または一部を免除された。 (山川 日本史小辞典(改訂新版), 2016年, 山川出版社)
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