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私徳政(しとくせい)

中世に,徳政と号して蜂起した土一揆が,売買物や質物を力ずくで取り戻し,徳政を実現すること。幕府や朝廷などの公権力が徳政令にもとづき実施する徳政に対していう。室町時代に頻発する土一揆は,村落の結合を軸に地域的な勢力結集を行い,実力で私徳政を実現する一方,幕府に徳政令を出すよう要求した。私徳政を行う主体は土一揆であり,それぞれの地域で徳政の実施を宣言した。1428年(正長元)大和国柳生の徳政碑文や41年(嘉吉元)の近江国奥島・北津田両荘の徳政高札などは,在地での私徳政の実施の宣言とされる。私徳政が広く行われた背景には,中世に特有の土地と本主(ほんしゅ)は一体のものとする観念があった。 (山川 日本史小辞典(改訂新版), 2016年, 山川出版社)

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