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十返舎一九(じっぺんしゃいっく)

生没 1765~1831.8.7 江戸後期の戯作者。本名は重田貞一。駿河国府中生れ。近松余七の名で大坂で浄瑠璃修業ののち,江戸の蔦屋(つたや)の食客となる。「心学時計草(とけいぐさ)」などの黄表紙を自作・画で発表以後,毎年10種以上の黄表紙を出した。「化物太平記」が発禁となる事件もあったが,洒落本・滑稽本・合巻・人情本・読本・噺本・往来物と多くの分野で活躍。とくに滑稽本「東海道中膝栗毛(ひざくりげ)」が好評で,東海道編以後21年にわたって書き継がれた。合巻「金草鞋(かねのわらじ)」「滑稽旅加羅寿(たびがらす)」や読本「通俗巫山夢(ふざんのゆめ)」も滑稽本的要素が強く,式亭三馬や曲亭馬琴などとの違いをみせる。「清談峰初花(みねのはつはな)」は人情本の先駆とされる。 (山川 日本史小辞典(改訂新版), 2016年, 山川出版社)

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