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七支刀(しちしとう)

奈良県天理市布留(ふる)町の石上(いそのかみ)神宮蔵の特異な形の有銘鉄剣。長さ74.9cmの鉄剣で,身の左右に3本ずつ枝が出ており,身の表裏に金象嵌(ぞうがん)で61文字の銘文がある。初期の日朝関係史の重要な史料であるが,釈読・解釈についていまだ定説がない。表の銘文は,冒頭に「泰和4年」(中国東晋の太和4年=369年)と年紀をおき,作刀についてのべ,吉祥句を連ねるという構成で,中国風の刀剣銘の定型と一致する。裏は,百済(くだら)王の太子奇生(きせい)が倭王のためにこの刀を作ったと解され,七支刀自体の由来を示す内容となっている。「日本書紀」神功皇后52年9月丙子条にみえる百済から献上された「七枝刀(ななつさやのたち)」が,この七支刀にあたると考えられている。国宝。 (山川 日本史小辞典(改訂新版), 2016年, 山川出版社)

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