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自然主義(しぜんしゅぎ)

19世紀後半のフランスを中心におこった文芸思潮。写実主義の延長線上にあって理想を排して現実をありのままに描こうとする立場。自然科学の影響をうけ,人間は遺伝と環境によって決定される存在であるとの観点から創作を行った。ゾラ,フローベール,モーパッサンなどが有名。日本では日露戦争後の近代文学の確立期において最も影響力をもった。島崎藤村の「破戒」,田山花袋の「蒲団(ふとん)」の出現や,島村抱月・長谷川天渓らの評論によって自然主義時代の到来が告げられたが,文芸思潮としてはその後急速に分化衰退し,私小説化・心境小説化の方向をたどった。上記以外に国木田独歩・徳田秋声・岩野泡鳴・正宗白鳥・近松秋江らがいる。 (山川 日本史小辞典(改訂新版), 2016年, 山川出版社)

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