使節遵行(しせつじゅんぎょう)
鎌倉後期~室町時代,検断・所務にかかわる幕府裁定を使節を派遣して遵行すなわち強制執行する手続。検断関係の使節遵行は13世紀後半からみえ,係争地周辺の有力御家人2人からなる両使または守護の被官が遵行使となった。室町幕府も両使と守護使による遵行手続を継承し,1346年(貞和2・正平元)に使節遵行を大犯(だいぼん)三カ条に加えて守護の職権とした。軍事・検断を基本とする守護の職権が拡大し,所務沙汰にも関与するようになる。両使遵行は1350年代に減少し,守護によるものが一般化し,守護法廷の機能が強化された。守護使の任務は幕府課役や守護独自の課役の徴収にも拡大し,これに対応して奉公衆や有力荘園領主に守護使不入の特権が与えられた。 (山川 日本史小辞典(改訂新版), 2016年, 山川出版社)
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