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地獄草紙(じごくぞうし)

前世の罪科によって地獄におちた人々がうける責苦のさまを,経典にもとづいて表した絵巻。12世紀後半の制作。わかりやすい和文の詞書(ことばがき)と短い絵で構成され,平安末期の世情不安におののく人々に地獄の恐怖を教え,欣求(ごんぐ)浄土の思いを喚起させた。「餓鬼草紙」「病(やまい)草紙」などとともに六道絵(ろくどうえ)と称される。「正法念処経」による東京国立博物館本と,「起世経」による奈良国立博物館本のほか,断簡数点がある。表現はリアルでおぞましく,地獄の暗闇と猛火の赤色の対比が鮮烈だが,奈良博本の獄卒の表情には諧謔味もみられる。東博本は縦26.1cm,横243.4cm。奈良博本は縦26.5cm,横453.9cm。ともに国宝。 (山川 日本史小辞典(改訂新版), 2016年, 山川出版社)

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