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素戔嗚尊(すさのおのみこと)

素戔男尊とも。「古事記」では須佐之男命など。建速(たけはや)・神(かむ)などを冠する場合もある。日本神話に登場する神名。スサはスサブ・ススムと同根で,この神の荒れすさぶ本性を表す。「日本書紀」ではイザナキ・イザナミによって生みだされ,「古事記」では黄泉(よみ)国から帰ったイザナキの禊(みそぎ)の際にアマテラスらとともに誕生した。親により根国(ねのくに)に追放されるが,途中暇乞いのため高天原に寄りアマテラスと誓約(うけい)を行って潔白を証明する。その後,高天原で乱暴を働いて追放され,出雲に下って八岐大蛇(やまたのおろち)を退治し,清地(すが)の地に鎮まった。「古事記」ではその後根国を訪れたオオナムチに試練を課し,女スセリヒメを与えてオオクニヌシたらしめ,葦原中国(あしはらのなかつくに)の完成を導いた。強烈なエネルギーをもつ神で,元来は暴風雨神とも農耕神とも説かれるが,記紀それぞれの世界秩序に相容れぬ神格として描かれている点が重要である。「出雲国風土記」や「備後国風土記」逸文にも登場する。 (山川 日本史小辞典(改訂新版), 2016年, 山川出版社)

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