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助郷(すけごう)

江戸時代,街道の宿駅で継ぎ立てるべき人馬が宿内でまかなえない場合に,これを補う周辺村々,またその負担のこと。主要街道では早くから事実上の助郷(相対助郷)がみられたが,参勤交代制の確立などにともなう交通量の増大で,1637年(寛永14)東海道などに助馬村が設定された。94~96年(元禄7~9)の助郷帳発給により,特定村を指定して伝馬役負担を強制する厳密な意味での助郷制(指定助郷)が確立した。各地の脇往還でも幕藩領主により同様の助郷が設定されていった。助郷の中心は恒常的にこれを勤める定(じょう)助郷だが,負担軽減のため大助郷・代(だい)助郷・加助郷・増(まし)助郷・当分助郷などが周囲に設定された。伝馬役を百姓固有の役とする観念ともあいまって助郷の範囲は拡大する傾向にあり,近世後期には免除訴願や宿・助郷間の抗争が頻発した。助郷の負担は大きかったが,宿駅並の特権獲得の論拠となったり,村内下層民には稼ぎの機会にもなった。1868年(明治元)新政府は海内一同の助郷を宣言し改革を進めたが,貫徹されず,72年伝馬役とともに助郷も廃止された。 (山川 日本史小辞典(改訂新版), 2016年, 山川出版社)

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