寄親(よりおや)
擬制的な血縁関係によって従者・被保護者を指揮・統制する者。ある者に身を寄せ,庇護されるという場合には,奈良時代の寄口(きこう),平安時代の寄人(よりうど)などのように,「寄」が使用された。鎌倉時代には,武士・在地領主層が惣領制にもとづく武士団において,血縁関係のない武士を惣領が武士団内部の指揮系統下にとりこむようになる。庶子と同様な所当公事(しょとうくじ)を割り当てる際,擬制的な血縁関係すなわち惣領が親,被庇護者が子という関係をとるのを,寄親・寄子といった。南北朝動乱後の室町時代,各地の諸領主が従者や被官人を指揮・支配する場合にも,寄親としての関係が用いられ,戦国期には戦国大名の家臣団組織において,寄親は指南(しなん)・奏者とよばれた。 (山川 日本史小辞典(改訂新版), 2016年, 山川出版社)
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