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嫁入婚(よめいりこん)

夫処婚(ふしょこん)とも。嫁が婿方の家に引き移るか通うかする嫁入りによって成立する婚姻形式。婚姻成立祝は婿方で行い,夫婦の寝所は婿方の家に所属する。武家社会の成熟にともなって確立し,近世には伊勢流・小笠原流などの婚礼形式も整えられ,庶民の間にも普及した。当人どうしの自主性よりも家の要求に比重をおいた婚姻で,婚域の拡大や娘の労働力の生家における重要性の減少,儒教倫理の影響などが発生原因に考えられている。婿方・嫁方両家を仲立ちする仲人の重要性も増した。嫁入りしても婚姻成立祝がないまま婿方の家に嫁の資格を試されたりすることもあり,婚姻成立祝をしてもただちに婿方の家の主婦となることを意味しなかった。嫁の里方への依存性も少ない。 (山川 日本史小辞典(改訂新版), 2016年, 山川出版社)

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