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世直し(よなおし)

幕末から明治初年にかけておきた民衆運動。百姓一揆との共通性を強調する立場は世直し一揆とよび,百姓一揆との異質性を強調する立場は世直し騒動とよぶことが多い。一揆と騒動の区別はむずかしいが,いわゆる世直し一揆が慶応年間から明治初年に高揚期をむかえたとすることに問題はない。世直しという言葉は世の中を改め新しい世にするとの意味で用いられるが,世直し一揆では世直しの時,世直しの事業という意味で用いられる。世直し大明神が登場し,貧窮者を放置したままの豪農・富裕商人・高利貸を懲らしめるために,世直し神の命令に従って神罰を行うという考えも現れた。一揆参加者については,労働力販売によって生活を維持ないし補充しなければならない「半プロレタリア層」を重視する立場があるが,貧しい百姓・没落した小作人・在郷町の店借層などの中下層民など,さまざまな階層が参加したとする立場もある。一揆の要求は金・穀物の供出,質地・質物の返還要求などの現実的要求から,窮民救済,上下無し(平等)まであった。1866年(慶応2)の世直し一揆・打ちこわしは全国に波及し,幕藩体制を大きく揺り動かした。 (山川 日本史小辞典(改訂新版), 2016年, 山川出版社)

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