庸(よう)

律令制での租税負担の一つ。養老令では年間10日の歳役(さいえき)の義務を規定し,その代納の庸として1日あたり2尺6寸の布を納めるとする。大宝令では全員が布2丈6尺を納める規定で,養老令でも歳役の徴発はなく,庸は調と並ぶ基本的税目であった。次丁は正丁の半額,中男および京・畿内は免除された。庸の品目は布のほか米・塩・綿で,706年(慶雲3)額は半減されている。改新の詔(みことのり)に仕丁・采女(うねめ)のため郷土の50戸が庸布・庸米をだす制がみえ,こうした仕丁などの資養物としてのチカラシロの制を前提として,大宝令で雇役制の成立とともに税制として庸が成立した。のちの調庸布の制を除けば,庸は調と区別されるのが原則で,調が大蔵省に納入されるのに対して民部省に納入され,雇役の功直(こうちょく)のほか,衛士(えじ)・仕丁・采女などの食料にあてられるなど用途も異なり,資養物としての性格をもち続けた。 (山川 日本史小辞典(改訂新版), 2016年, 山川出版社)

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