1. 用語
  2. 日本史 -よ-
  3. 夜明け前(よあけまえ)

夜明け前(よあけまえ)

島崎藤村の長編小説。2部よりなる。1929年(昭和4)より35年まで「中央公論」に連載。藤村晩年の傑作であり,また歴史小説としても近代文学史上に残る作品である。木曾馬籠宿(まごめしゅく)の本陣・問屋・庄屋を兼ねる17代目の当主青山半蔵の経験した明治維新前後の動乱の時代が綴られる。中山道の要所として,地方でありながら中央の時勢が伝わってくる地点であり,また民衆にじかに接する立場を設定することで,独自の視点から維新の歴史を描いた。半蔵のモデルは藤村の父正樹であるが,父の理想と挫折の半生に作者自身の思想を重ねあわせ,さらにさまざまな歴史的資料を駆使して重厚な作品世界を作り上げることに成功している。 (山川 日本史小辞典(改訂新版), 2016年, 山川出版社)

この記事が気に入ったらいいね!しよう